同人誌という世界をご存じでしょうか? 同人誌とは、同好の士が資金を出しあって製作する雑誌のこと。ただし、個人誌もこれに含まれるので執筆者が自ら発行元となる雑誌という感じです。言うなれば、自費出版のミニチュア版のようなもので、原稿さえ用意できれば数千円(コピー誌)~数万円(オフセット本)程度で誰でも作ることができます。 また同人サークルとは、同人によって結成されたサークル(組織)のことを指す。同人組織とも。個人で活動している(構成員が一人)同人サークルは、特に個人サークルとも呼ばれています。 この同人誌という書籍は、一般の書店には置かれていません。ではいったいどこで売られているのでしょうか? コミケって聞いたことがありますか? 正確に言うとコミックマーケットの略で同人誌即売会のことです。年に夏と冬に東京ビッグサイトを借り切って開催されています。その会場に同志が集まり売られています。ただここまで大規模な同人誌即売会じゃなければ、毎週のように全国の どこかで開催されています。 では同人誌とはいったいどのような内容がかかれているのでしょうか? そもそもはオリジナルの小説の発表が始まりだったようですが、近年は人気のアニメや漫画のパロディが中心になっています。このパロディと言ってもギャグ漫画ではなく、アフターストーリーのような原作では描かれなかった部分を独自の観点で描いたりしています。 コミケに出店しているサークルのジャンルを具体的に分類してみると、創作(小説、漫画)、漫画雑誌系(少年ジャンプ、少年マガジン、少年サンデー等)、アニメ、漫画、ゲーム、アダルト、BL(ボーイズラブ)、評論等に分かれています。 一般の商業誌では実現できないことって実はたくさんあります。読者ニーズの少ないものや俗にいうダブーですが(皇室や広告主批判等)、同人誌の世界ではタブーがほとんどありません。表現の自由が守られています。 アニメや漫画のジャンルでは二次創作にあたり、正確には著作権侵害かもしれませんが、その規制がほとんどありません。人気=二次創作の同人誌の数、と言えるでしょう。出版社としても著作権の規制するのではなく、熱心な愛読者として捉えています。 ただし、アダルト系は規制の方向に動いてきています。これは過激な性描写ためでしょうか、同人即売会の会場となる公共施設が借りにくくなってきています。そのため印刷業組合や各同人誌即売会の主催者などは、ガイドラインの制定や規則に沿った修正を確実にするよう促しています。 同人誌の95%以上が正直なところおもしろくありません(もちろん熱意は伝わってきます)。それでも中には商業誌顔負けのレベルのものもあります。そのレベルは千差万別です。 同人誌をステップにプロの作家や漫画家になった人も多数います。近年はある意味登龍門的な位置付けになっているのではないでしょうか。代表的な同人出身の漫画家を挙げると漫画やアニメでメイドブームを引き起こした「エマ」の森薫でしょう。 2000年~2001年に発刊された森薫先生の同人誌。今でも人気は高い 当時の彼女の同人誌を見ると技術的にはまだ甘い部分はありますが、独創的な素晴しい感性が伝わってきます。いまでも当時の作品は人気があり、中古同人ショップ(まんだらけ、とらのあな、K-BOOKS等)では高値で取引されています。商業誌なら好きな作家の作品はまず買うことができますが、同人誌は部数が極端に少ないため(数部~数千部)稀少価値の高い商品になる場合があります。 森薫先生の同人CD Windows95対応ですがXPでも動きます 前述はアマチュアからプロになった例を出しましたが、逆にプロが同人界で活躍しているケースもあります。 大人の事情で連載漫画が打ち切りになった作品の続きを描いたり、商業誌では企画が通らなかった作品を描いたり、ボツ原稿を公表したりしています。 プロですから絵のレベルは最高水準に達していますから、作品の安定感はあります。人気があれば売れますので、数千部があっという間に売れてしまう人気サークルもあります。出版社を通さない分直販の1冊の利益は大きく、一部千円で発売して5千部売れれば5百万円です。諸経費を差し引いてもたかが知れています。このように莫大な利益を出しているサークルもいくつか存在します。更にセット販売として紙袋、マグカップ、テレカ、団扇等の会場限定のグッズのセットを付けたり もします。 しかも必ず売り切れるように設定されているので、買えなかった人たちが出てきます。そんな人たちはどうするのか……これは後述します。 もっともこのような大手サークルは極一部で、大半は数十部売れれば御の字というお祭り感覚で楽しんでいるサークルが大半です。同好の士が資金を出しあって製作した雑誌なのですから。 前述した人気サークルの売り切れた同人誌やグッズを転売することを当初からの目的とした転売グループが存在しています。 特にコミケ開催日から2週間くらいはヤフーオークションに多数の人気同人誌が出品され、取引が賑わっています。 地方の方だと高額な交通費や宿泊費を掛けてわざわざ現地へ行くより、ヤフオクで入手した方が安かったりもするのです。 転売グループは、サークル入場券(出店サークルにのみ配布されるチケット。一般の入場者より先に入場できる)を入手し(ヤフオク等でも数万円で取引されている)、人気サークルにいち早く列んで先行して買うことができる。もちろん何でも高くなる訳ではないので、需要と供給を見据えた目利きが必要となります。 ただし、著者からしてみれば、何倍もの高値で売られておもしろくありません。転売禁止という明記はされていますが、残念ながら無法地帯になっています。しかし欲しい人がいるから売れる訳であって、需要と供給を考えずに製作されたものだけに全面禁止にするのは難しいところがあります。かくいう私も転売したことはありませんが、購入はしていますから。 同人誌にもデジタル化の波が来ています。デジタル漫画製作ツールとして「ComicStudio」という商品が発売されています。 ペンの書き味も結構いいし、面倒だったベタがしっかり塗れたり、集中線もサクサクと気持ちよく描けます。トーンを貼るのは面倒だったのですが、ドラッグ&ドロップで貼れますし、後からペンで塗り足しが簡単にできます。仕上げのスピードはアナログよりかなり上がりましたというような声が多いです。公式ガイドブックも多数発売され、着実にユーザー数は増えています。